いびきと睡眠障害(不眠症)の関係性について-原因・診断te治療について医師が解説

リリモアクリニック内科歯科 院長 各務 康貴

監修医師

各務 康貴

大分大学医学部医学科卒業。医師として救急医療や在宅医療に従事し、マウスピース歯科矯正hanaravi(ハナラビ)を提供する株式会社DRIPSを創業。
医療現場で予防の重要性や予防に取り組んでもらうことの難しさを痛感。美容という切り口で本質的な予防につなげる入口として、口腔という臓器に興味を持つ。口腔環境が多くの臓器に影響を及ぼし、多くの病気に繋がってしまうというポイントから予防について新聞・テレビ・WEBメディア等で情報を発信している。
目次

1. はじめに:いびきと睡眠障害(不眠症)の関係性

いびきと睡眠障害

いびきと睡眠障害は、一見、無関係なように思えますが、実は密接な関連性があります。いびきは、単純に音がうるさいだけでなく、時には深刻な睡眠障害の兆候であることもあります。

例えば、「睡眠時無呼吸症候群」は、いびきを伴うことが多いとされ、重症化すると日中の眠気や集中力低下等、生活に大きな影響を及ぼします。また、いびきによる睡眠の質の低下は、心身の健康を損ねる可能性もあります。

しかし、全てのいびきが睡眠障害を意味するわけではありません。そこで重要なのが、いびきを含む自身の睡眠状況を正しく理解し、必要であれば専門的な診断を受けることです。本稿では、いびきと睡眠障害の関連性について深掘りし、その診断と治療方法について解説します。

2. 睡眠障害とは

睡眠障害

睡眠障害とは、睡眠の質や量に影響を及ぼす一連の症状を指します。

(1) 睡眠障害の一般的な定義と種類 一般的に、睡眠障害は不眠症、過眠症、睡眠リズムの乱れ、睡眠時無呼吸など多岐にわたります。その原因は、ストレス、医療状態、または特定の生活習慣など様々です。

以下に主な種類を表にまとめました。

睡眠障害の種類概要
不眠症夜間に十分な睡眠が取れない状態
過眠症日中に過度な眠気を感じる状態
睡眠リズム障害睡眠と覚醒の周期が異常な状態
睡眠時無呼吸寝ている間に呼吸が何度も止まる状態

(2) 睡眠障害の主な症状と影響 睡眠障害の主な症状は、日中の過度な眠気、集中力の低下、イライラや抑うつなどがあります。これらは日常生活に多大な影響を与え、健康や生活の質を低下させる可能性があります。

(1) 睡眠障害の一般的な定義と種類

睡眠障害とは、質の良い睡眠を維持することが困難な状態を指します。これには、夜間に十分な睡眠が取れない、昼間に過度の眠気を感じる、一晩中何度も目覚める、寝つきが悪いなどの症状があります。

具体的な種類としては、以下のようなものがあります。

  1. 不眠症:一晩中ぐっすり眠れない状態
  2. 過眠症:通常よりも多くの睡眠時間が必要な状態
  3. レム睡眠行動障害:夢を見ている間に身体を動かす状態
  4. 睡眠時無呼吸:睡眠中に呼吸が一時的に止まる状態
  5. ナルコレプシー:突然の睡魔に襲われる状態

これらは一部例で、他にもさまざまな種類の睡眠障害が存在します。これらの症状が長期にわたり、日常生活に影響を与える場合には、専門的な診断と治療が必要となります。

(2) 睡眠障害の主な症状と影響

睡眠障害には様々な症状があります。以下は主要なものを表にまとめたものです。

症状説明
不眠眠りにつけない、深い眠りが得られないなど、質の良い睡眠が取れない状態
過眠過度な眠気、日中にも関わらず眠ってしまうなど、睡眠時間が通常よりも長い状態
睡眠リズム障害生活リズムと睡眠リズムが乖離し、日常生活に影響を及ぼす状態
睡眠時無呼吸睡眠中に呼吸が一時的に止まる現象

これらの症状は、日中のパフォーマンス低下、情緒不安定、集中力の欠如、記憶力の低下等、身体的・精神的健康に深刻な影響を及ぼします。これらの症状を放置せず、専門的な診断と治療が必要です。

3. いびきと睡眠障害

いびきと睡眠障害について

いびきと睡眠障害の関連性について詳しく見ていきましょう。

(1) いびきと睡眠障害の関連性 いびき自体は必ずしも睡眠障害を示すものではありませんが、いびきが特に大きくなると睡眠時無呼吸症候群の可能性が考えられます。これは睡眠中に呼吸が一時的に停止することで、眠りが何度も中断される病態で、深刻な睡眠障害の一つです。

(2) いびきが引き起こす可能性のある睡眠障害 いびきによって睡眠が何度も中断されると、日中の眠気、集中力の低下、イライタビリティなど、様々な問題を引き起こします。さらに、長期的には心臓病や脳卒中のリスクも高まります。

明らかないびきやこれに伴う睡眠障害の症状が見られる場合は、早めに専門医の診察を受けることを推奨します。

(1) いびきと睡眠障害の関連性

いびきと睡眠障害は密接な関連性があります。人は通常、リラックスした状態で深い睡眠を得るために自然と呼吸を行います。しかし、いびきをかく人々は、喉の筋肉のリラクゼーションが過度になるため、呼吸が一時的に停止する「睡眠時無呼吸症候群」を発症するリスクが高まります。

以下にそのメカニズムを簡単な表で示します。

状態説明
いびき喉の筋肉がリラックスし、気道が狭くなることで起こる
睡眠障害気道が完全に閉じてしまうことで呼吸が一時的に停止し、睡眠が中断される

したがって、いびきはただの騒音ではなく、潜在的な睡眠障害のサインであり、適切な対策が必要です。

(2) いびきが引き起こす可能性のある睡眠障害

いびきは一般に、睡眠中に呼吸器官の一部が振動して発生する音です。しかし、このいびきが慢性的で強い場合、睡眠障害を引き起こす可能性があります。

特に、重度のいびきは、「睡眠時無呼吸症候群」の一因となることが知られています。この病態では、睡眠中に呼吸が一時的に停止し、深い睡眠を妨げることで、日中の眠気や集中力の低下といった問題を引き起こします。

また、この他にも「レム行動障害」や「睡眠関連運動障害」など、いびきとともに見られる睡眠障害は多種多様です。

下の表に、いびきが引き起こす可能性のある主な睡眠障害を列挙します。

睡眠障害の名前症状
睡眠時無呼吸症候群呼吸が一時的に停止し、深い睡眠が妨げられる
レム行動障害睡眠中に夢を見ながら動き回る
睡眠関連運動障害睡眠中に不自然な体の動きをする

いびきが引き起こす睡眠障害は、その人の生活の質を大きく左右します。問題がある場合は、早期に専門医に相談することをお勧めします。

4. 睡眠障害といびきの診断方法

病気診断

睡眠障害といびきの診断は、専門的な診察と検査により行われます。

(1) 睡眠障害の診断基準と診断プロセス: 睡眠障害の診断には、患者の自己報告や家族からの情報、そして専門医の臨床評価が基本となります。さらにポリソムノグラフィ(PSG)という睡眠検査を行うことで、睡眠の質や深さ、睡眠時無呼吸の有無などを詳細に把握します。

(2) いびきの診断基準と診断プロセス: いびきの診断もまた、患者本人や家族からの情報が重要となります。しかし、いびきが睡眠障害の原因となっているかは専門的な睡眠検査が必要です。特に、睡眠時無呼吸症候群によるいびきであるか否かは、PSGによる検査で評価します。

これらの診断方法により、適切な治療法を選択するための重要な情報を得ることができます。

(1) 睡眠障害の診断基準と診断プロセス

睡眠障害の診断は、患者の主訴、医師の観察、必要に応じて行われる検査結果に基づきます。以下に通常の診断プロセスを示します。

  1. 問診:患者の睡眠習慣、日常生活、ストレス状況などを把握します。また、家族からの情報も重要となる場合があります。
  2. 身体検査:基本的な身体検査を行い、他の病気が原因で睡眠障害が起こっていないか確認します。
  3. 睡眠日記:一定期間、睡眠時間や起床時間、日中の眠気の有無などを記録し、客観的なデータを集めます。
  4. 睡眠検査:病院や睡眠クリニックで、脳波や呼吸パターン、心拍数などを記録するポリソムノグラフィが行われる場合があります。

診断基準は、国際睡眠障害分類(ICSD)に基づき、具体的な症状やその程度、継続期間などを考慮して診断が行われます。

(2) いびきの診断基準と診断プロセス

いびきの診断は、主に患者の自覚症状や家族からの情報、医師による問診から始まります。特に、強いいびきやいびきと共に呼吸が止まるなどの症状がある場合、睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea)の可能性が考えられます。

その後、必要に応じて「ポリソムノグラフィ」(PSG)という睡眠検査を行い、いびきの重度や、それが睡眠障害を引き起こしているかどうかを判断します。PSGは、睡眠中の脳波、心電図、筋肉活動、眼球運動、呼吸パターン、酸素濃度などを一晩中記録し、分析する詳細な検査です。

また、日中の眠気の程度を評価する「エプワース睡眠性スコア」や「スリープ・ラテンシー・テスト」も併用されることがあります。これらにより、いびきが日常生活や健康にどの程度影響を及ぼしているかを医師が評価します。

5. 睡眠障害といびきの治療法

いびきの治療法

睡眠障害の治療には、様々なアプローチがあります。まずは、生活習慣の見直しやストレス管理から始め、それが不十分であれば医薬品の使用も検討されます。

また、いびきの治療には、体位調整や体重減少などの生活改善が初めの一歩となります。それでも改善が見られない場合は、口腔内装置やCPAP療法といった医療的介入が試みられます。

以下の表に具体的な治療法をまとめました。

対象治療法
睡眠障害生活習慣の見直し、ストレス管理、医薬品
いびき体位調整、体重減少、口腔内装置、CPAP療法

いびきによる睡眠障害の場合、その両方に対する治療が必要となります。診断結果に基づき、医師が最適な治療法を提案します。

(1) 睡眠障害の一般的な治療法

睡眠障害の治療法は、その原因や症状の種類により異なります。

まず、睡眠環境の改善が求められます。静かで暗い部屋、適切な温度などが不可欠です。また、レギュラーな睡眠時間を設けることも大切です。

次に、生活習慣の見直しです。適度な運動、カフェインやアルコールの摂取制限、食事内容と時間の調整が含まれます。

さらに、精神療法が行われることもあります。ここでは、ストレス管理技術やリラクゼーション訓練が役立ちます。

薬物療法が必要な場合もあります。これには、睡眠を促す薬や、特定の睡眠障害に対応する薬が使用されます。

最後に、重度の場合や他の治療法が効果を発揮しない場合は、機器を用いた治療や手術も考慮されます。

以上のような対策を組み合わせて、睡眠障害の改善を目指します。

(2) いびきに対する治療法

いびきの治療は、原因により異なります。生活習慣の見直しから始め、体位調整や医療機器の使用、場合によっては手術まで範囲は広いです。以下に主な治療法を紹介します。

  1. 生活習慣の改善: アルコールの摂取量を減らしたり、体重を管理したりすることで、いびきを軽減することが可能です。
  2. 体位調整: 特に背中を下にして寝ると、いびきが大きくなる傾向があります。そのため、横向きで寝る等、寝る体位を調整することも有効です。
  3. 医療機器の使用: CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)という装置を使い、気道に一定の陽圧を与えていびきを抑制します。
  4. 手術: 上咽頭部の組織を取り除く手術も行われます。しかし、リスクもあるため、他の治療法が効果のない場合に限ります。

以上のように、いびきの治療法は多岐にわたります。病院で専門医と相談し、自身に最適な治療法を見つけることが大切です。

(3) いびきによる睡眠障害の治療法

いびきが睡眠障害の一因になっている場合、その対策としてまずはライフスタイルの見直しが求められます。アルコールやタバコの摂取制限、正しい寝姿勢の習慣化、適度な運動などが挙げられます。

次に、医療機関による治療が必要となる場合もあります。いびきによる睡眠障害の主な治療法は以下の通りです:

【表1】いびきによる睡眠障害の治療法

治療方法内容
CPAP療法連続陽圧呼吸装置を使用し、呼吸の安定を促す
口腔器具特殊なマウスピースを使用し、気道を確保する
手術療法鼻や喉の構造を改善することで、いびきを減らす

これらの治療法は、いびきによる睡眠障害の重度や症状に応じて、医師の指導のもと選択されます。治療前には必ず専門医と十分な相談を行い、最適な治療法を選ぶことが大切です。

6. 病院での睡眠障害の診療内容

睡眠障害の診療内容

睡眠障害で悩む方が病院を訪れると、まず行われるのは詳細な問診です。これは、睡眠パターン、生活習慣、ストレスレベルなどから原因を探るため重要となります。

次に、必要に応じて「睡眠ポリグラフ検査」や「睡眠時多チャンネル検査」といった具体的な検査が行われます。これらは、心電図や脳波、筋電図等を用いて睡眠状況を詳細に調査し、睡眠障害の診断に役立てます。

また、「睡眠カウンセリング」も非常に重要な診療内容です。これは、専門医と一緒に改善策を考えたり、適切な生活改善方法を提案する時間となります。

病院では、これらの診断結果をもとに、最適な治療を提案します。自然治癒から薬物療法、場合によっては手術まで、患者さん一人ひとりの状況に応じた治療が行われます。

(1) 睡眠障害外来での診療内容

睡眠障害外来では、患者の睡眠状況、生活習慣、病歴などを詳細に調査します。初回診察では、質問票による自己報告や医師による面接を行い、患者の睡眠状況や日常生活における問題点を把握します。

次に、必要に応じて睡眠検査(ポリソムノグラフィ)を実施します。この検査は、睡眠中の呼吸や脳波、心電図などを測定し、睡眠の質や段階、深さなどを詳しく調べます。

また、専門的なカウンセリングや指導も行われます。これには、睡眠習慣の改善法やストレス管理、適切な運動や食事法など、個々の生活習慣に合わせたアドバイスが含まれます。

そして、必要に応じて薬物療法や器具療法(CPAP療法など)、行動療法等を行います。これらの治療は、いびきによる睡眠障害の改善を目指します。

これらの診療内容は、患者の状況により異なるため、一人ひとりに最適な診療が行われます。

(2) 睡眠障害の治療に関わる診療科

睡眠障害の診断と治療には、専門的な知識を持つ診療科が協力して治療を行う必要がある場合があります。主に、精神科医、神経内科医、耳鼻咽喉科医が関与します。

精神科医は、睡眠障害が精神的な要因から引き起こされている場合に対応します。例えば、不安やうつ病といった精神疾患が睡眠を妨げている場合などです。

神経内科医は、睡眠障害が脳や神経系の問題から生じている場合に対処します。特に、睡眠時無呼吸症候群などの神経系に起因する睡眠障害の診断や治療に携わります。

耳鼻咽喉科医は、いびきや睡眠時無呼吸症候群など、呼吸器系に関連する睡眠障害を診断、治療します。

病院によっては、睡眠に特化した「睡眠外来」を設けているところもあります。そこでは、これらの専門家が連携して診断や治療を行っています。

7. まとめ:いびきと睡眠障害の相互関連とその対策

本記事では、いびきと睡眠障害の相互関連とその対策について詳しく解説しました。いびきは単に騒音問題だけでなく、睡眠障害の一因となる可能性があります。具体的には、いびきは睡眠時無呼吸症状を引き起こす可能性があり、これが長期化すると心身の健康を脅かす可能性があります。

対策としては、まず適切な診断が重要です。睡眠障害の症状がある場合や、強いいびきをかく場合は、専門的な睡眠障害の病院で診察を受けることをおすすめします。そして、医師の指導のもとで適切な治療法を選択し、実施することが大切です。

以下の表は、いびきと睡眠障害の相互関連とその対策の概要をまとめたものです。

項目詳細
いびきと睡眠障害いびきは睡眠障害の一因となる可能性があります。
対策適切な診断と治療が必要です。
病院での診療睡眠障害の病院で専門医による診断と治療を受けることをおすすめします。

以上を踏まえ、自身の睡眠状況について見直し、必要があれば専門医の助けを求めることが重要です。

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リリモアクリニック内科歯科 院長 各務 康貴
リリモアクリニック内科歯科 院長
各務 康貴

大分大学医学部医学科卒業。医師として救急医療や在宅医療に従事し、マウスピース歯科矯正hanaravi(ハナラビ)を提供する株式会社DRIPSを創業。
医療現場で予防の重要性や予防に取り組んでもらうことの難しさを痛感。美容という切り口で本質的な予防につなげる入口として、口腔という臓器に興味を持つ。口腔環境が多くの臓器に影響を及ぼし、多くの病気に繋がってしまうというポイントから予防について新聞・テレビ・WEBメディア等で情報を発信している。

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