「過眠症」とは?「寝すぎ」による睡眠障害の症状・診断・治療法について解説

「ちゃんと睡眠をとっているのに眠い」
「9時間以上寝ないとダメだ」


このような症状があるなら、「過眠症」かもしれません。睡眠障害の一種で、心身の健康にマイナスの影響を及ぼします。自力での改善は難しいことも多く、医療機関の受診が必要です。


本記事では「過眠症」について解説します。身に覚えがある方はぜひ参考にしてください。

リリモアクリニック内科歯科 院長 各務 康貴

監修医師

各務 康貴

大分大学医学部医学科卒業。医師として救急医療や在宅医療に従事し、マウスピース歯科矯正hanaravi(ハナラビ)を提供する株式会社DRIPSを創業。
医療現場で予防の重要性や予防に取り組んでもらうことの難しさを痛感。美容という切り口で本質的な予防につなげる入口として、口腔という臓器に興味を持つ。口腔環境が多くの臓器に影響を及ぼし、多くの病気に繋がってしまうというポイントから予防について新聞・テレビ・WEBメディア等で情報を発信している。

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目次

過眠症とは

はじめに

過眠症とは、特に理由がないにもかかわらず、日中過度に眠気を感じる、または普通の人よりも睡眠時間が長いという特徴を持つ睡眠障害の1つです。これにより、日常生活や職務に支障をきたす可能性があります。過眠症には主に2つのタイプが存在します。

タイプ特徴
一次性過眠症原因不明の過眠症で、睡眠の質や量に問題がないにも関わらず日中に過度の眠気を感じる。
二次性過眠症別の病状や状況(例:うつ病など)が原因となり、過度の睡眠を引き起こす。

このような過眠症は、専門の医療機関で診断を受け、適切な治療が行われることで改善する場合があります。睡眠障害に悩む方は、専門家に相談することを強くお勧めします。

過眠症の種類と症状

過眠症の主な症状とは

過眠症には主にナルコレプシー、突発性過眠症、睡眠不足症候群などの種類があります。

以下に示すような症状が続き日常生活に支障をきたす場合は過眠症の可能性があります。ただし、症状には個人差があり、複数のタイプの特徴が混在することもあります。

正確な診断には専門の医師による詳しい検査が必要です。それぞれの症状が自分に当てはまっているか見てみましょう。

ナルコレプシー

ナルコレプシーは、睡眠と覚醒をコントロールする脳の機能に異常が生じることで、日中に強い眠気に襲われる病気です。自分の意思とは関係なく、突然強い眠気に襲われ、居眠りしてしまうことがあります。

症状説明
日中の強い眠気場所や時間帯に関係なく、強い眠気に襲われます。
睡眠発作抵抗することができずに、数分~数十分程度の短い睡眠をとってしまいます。
カタレプシー感情が高まったときに、筋肉の力が突然抜けてしまう症状です。
睡眠麻痺寝入り端や目覚め際に、意識はあるものの体が動かせない状態になります。
自動症意識がもうろうとした状態で、無意識に動作を行ってしまうことがあります。

ナルコレプシーは、他の過眠症と比べて症状が重く、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。

突発性過眠症

突発性過眠症は、その名の通り、突然強烈な眠気に襲われるようになる病気です。 ナルコレプシーと異なる点は、睡眠発作や情動脱力発作などの症状がみられないことです。
主な症状は以下の通りです。

症状説明
突然の強い眠気数日から数週間続くことがあり、日常生活に大きな支障をきたします。
頭痛眠気の開始時や眠気から覚めた後に起こることがあります。
集中力・記憶力の低下強い眠気の影響で、集中力や記憶力が低下することがあります。

突発性過眠症の原因は、まだはっきりと解明されていません。 しかし、ウイルス感染や免疫系の異常などが関与している可能性が示唆されています。

睡眠不足症候群

睡眠不足症候群は、過眠症の一種で、慢性的な睡眠不足が原因で起こる症状です。現代社会では仕事や学業のストレス、スマートフォンの使用などにより、十分な睡眠時間を確保できない人が増えています。


睡眠不足症候群の主な症状には以下のようなものがあります。

  • 日中の強い眠気
  • 集中力の低下
  • イライラや抑うつ感
  • 疲労感
  • 頭痛

睡眠不足症候群は、平日の睡眠時間が短く、休日に長時間眠る「社会的時差ボケ」の状態とも関連があります。

過眠症のセルフチェックテスト

過眠症の診断方法
質問内容
1読書など、座って何かを読んでいると眠くなる
2座ってテレビを見ていると眠くなる
3映画館や会議中など、他人がいる中で静かに座っていると眠くなる
4他の人が運転する車に1時間以上、休憩なしで乗っていると眠くなる
5午後に、横になって休憩をしていると眠くなる
6座って人と会話していると眠くなる
7飲酒をせず、昼食をとった後、静かに座っていると眠くなる
8座って書類などを書いていると眠くなる

全く当てはまらない:0点
少し当てはまる:1点
当てはまる:2点
よく当てはまる:3点

16〜24点:過眠症の疑いが強い。速やかに専門医の診察をおすすめします。
11〜15点:過眠症の疑いあり。生活習慣の見直しをし、それでも改善しなければ専門医の診察を受けましょう。
7〜10点:正常範囲。生活習慣や睡眠習慣を乱さないようにしましょう。
6点以下:問題なし。

過眠症の原因

睡眠障害治療の一般的なアプローチと専門機関の役割

過眠症の原因は、症状の種類によって異なります。主な原因として、以下のようなものが挙げられます。

1.脳内の神経伝達物質の異常

  • オレキシンの欠乏(ナルコレプシーの場合)
  • セロトニンやドーパミンのバランス崩れ

2.生活習慣の乱れ

  • 不規則な睡眠スケジュール
  • 慢性的な睡眠不足

3.精神的ストレス

  • うつ病や不安障害との関連

4.身体的要因

  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 甲状腺機能低下症

5.遺伝的要因

  • 家族性の過眠症の存在

これらの原因が単独で、あるいは複合的に作用して過眠症を引き起こすと考えられています。しかし、突発性過眠症のように原因が特定できないケースもあります。
過眠症の原因を正確に把握することは、適切な治療法を選択する上で非常に重要です。そのため、専門医による詳細な診断と検査が必要となります。

過眠症の治療方法

過眠症の治療方法

過眠症の治療は、個々の生活習慣や症状に合わせて、主に以下の方法でおこなわれます。

(1)生活習慣の見直し
(2)薬物療法(突発性過眠症の場合)

これらの治療方法は一概に最適とは限らず、患者の状況や体質により異なります。専門的なアドバイスを求めるため、適切な専門医のもとで診察を受けることを強く推奨します。

生活習慣の見直し

生活習慣は過眠症の発症や症状に大きく影響します。日常の習慣を見直し、以下の項目を意識することが推奨されます。

  1. 同時刻の就寝・起床:睡眠リズムを整えるため、毎日同じ時間に就寝・起床する習慣をつけましょう。
  2. 適度な運動:適度な体力消耗は深い睡眠を促進します。特に夕方に軽い運動をすると効果的です。
  3. 喫煙・飲酒の制限:ニコチンは覚醒作用があり、アルコールは睡眠の質を下げます。特に就寝前の摂取は控えましょう。
  4. 適切な食事バランス:食事はエネルギー供給の源であり、睡眠のクオリティにも影響します。特に夜食は消化に時間がかかり、睡眠を妨げる可能性があります。

これらの生活習慣を見直すことは、病院での治療と併せて行うことが重要です。

薬物療法(突発性過眠症の場合)

過眠症の治療法として、医師による薬物療法の提案があります。この治療法は、睡眠を調節する薬物を使用して、適切な時間に眠りを促し、日中の眠気を抑制します。

一般に、医師は患者の症状や体質に応じて最も適した薬物を選択します。以下に主に使用される薬物の一部を示します。

薬物名主な作用
モダフィニル昼間の覚醒を促す
メリディアセロトニンの再取り込みを阻害し、眠気を抑制する

ただし、薬物療法は副作用があるため、医師の指示に従って正しく使用することが重要です。また、薬物だけでなく、生活習慣の見直しや心理療法と併用することで、より効果的な治療を行うことができます。

まとめ

過眠症とは、日中の過度な眠気や異常に長い睡眠時間などを主な症状とする睡眠障害であり、集中力の低下やうつ病的な症状も伴います。診断は問診や睡眠検査により確定し、治療は生活習慣の見直し、薬物療法、心理療法などによっておこなうのが一般的です。

また、睡眠障害の治療は一般的に主治医とのコンサルテーションを経て専門機関で行われ、多職種によるチーム医療が重要とされています。特に専門機関では、患者一人ひとりの症状に合わせた治療を提案し、睡眠障害の改善を目指すことになるでしょう。

睡眠障害にお悩みの方は、過眠症の可能性も考え、適切なアプローチで早めの対策をお勧めします。

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