【医師監修】アフターピルの正しい飲み方・服用タイミング|副作用と注意点も解説

避妊に失敗した場合、アフターピルの服用によって妊娠を防げます。ただし、服用時間に制限があり、性交渉からあまり長く時間が経過した後では効果を得られません。副作用もあるため、医師の指示の元、正しく服用する必要があります。

本記事ではアフターピルの正しい飲み方について解説します。

目次

1. はじめに:アフターピルとは?

アフターピルとは、性交後に服用することで、望まない妊娠を防ぐための緊急避妊薬です。避妊に失敗した時や、避妊をせずに性交を行ってしまった時などに使用します。ただし、服用したからといって妊娠を完全に防げるわけではありません。通常の避妊方法と比べると、効果は低いといえます。

避妊方法の種類効果失敗率
コンドーム約2%
低用量ピル約0.3%
アフターピル約2%~

アフターピルの服用には時間制限があり、性交から72時間または120時間以内の服用であれば効果が期待できます。薬の種類によって時間や効果が変わるため迅速に医師へ相談のうえ処方してもらうのが望ましいところです。

2. アフターピルの種類と入手方法

アフターピルの種類は、大きく分けて黄体ホルモン剤と抗プロゲストロン剤の2種類があります。それぞれの違いを理解して、自分に合ったアフターピルを選択することが大切です。

1. 72時間用アフターピル

性行為後72時間以内に服用すれば効果が期待できるアフターピルです。「レボノルゲストレル錠」という薬剤で、国内では「マドンナ」や「ノルレボ」という商品名で販売されています。

成分レボノルゲストレル(黄体ホルモン)
服用のタイミング性行為後72時間以内
服用方法医師の指示に従って服用
入手方法オンライン診療
医療機関
その他の特徴比較的安価で入手しやすい。
副作用として吐き気や不正出血などの報告がある

2. 120時間用アフターピル

性行為後120時間以内に服用すれば、効果が期待できるアフターピルです。「ウルプリスタル酢酸エステル錠」という薬剤で、国内では「ホセイ」、「ウリプタル」、「エラ」や「エラワン」という商品名で販売されています。
72時間用アフターピルより効果が期待できるとされていますが、取り扱いのあるクリニックが限られる点に注意が必要です。

成分ウルプリスタル酢酸エステル
服用タイミング性行為後120時間以内
服用方法1錠を1回服用
入手方法オンライン診療
一部の医療機関
その他の特徴黄体ホルモン剤に比べて避妊効果が高いとされる。
副作用として吐き気や頭痛、月経困難、不正出血などが報告されている。

オンライン診療と処方

アフターピルは、オンライン診療でも処方を受けることができます。 スマートフォンやパソコンを利用して、自宅や外出先から医師の診察を受け、必要に応じて処方箋を発行してもらえるので便利です。病院に行く時間がない方や、対面での相談に抵抗がある方でも利用しやすいでしょう。

オンライン診療のメリットオンライン診療のデメリット
来院不要で24時間いつでも受診可能対面診療と比べて費用が高くなる場合がある
周囲の目を気にせず、相談しやすい診察時に医師の触診がない
自宅などプライバシーが守られた場所で受診できるネット環境が必要

オンライン診療の流れは、以下の通りです。

  1. アプリまたはウェブサイトからアカウント登録
  2. 問診票への入力
  3. 医師とのビデオ通話でのやり取り
  4. 薬の配送

アフターピルを処方してもらうためには、医師の診察が必要です。オンライン診療を利用する場合でも、問診票への正確な情報の入力や、医師との丁寧なコミュニケーションが大切です。
また、クリニックによっては、アフターピルの処方を行っていない場合もありますので、事前に確認しておきましょう。

病院での処方

アフターピルは、産婦人科などの医療機関を受診して処方してもらえます。実際に医師と対面して診察を受け、薬の説明を受けることができます。

ただし、クリニックによっては120時間用アフターピルの取り扱いがなかったり、ヤッペ法という避妊率が低く副作用も強いお薬が処方されてしまったりすることもあります。できる限り迅速にアフターピルの処方を受け、服用したいところではありますが、クリニック選びは慎重にしましょう。

3. アフターピルの正しい飲み方・服用タイミング

アフターピルは性行為後できるだけ速やかに服用することが重要です。ここでは、72時間用アフターピルと120時間用アフターピル、それぞれの服用方法について紹介します。

72時間用のお薬:レボノルゲストレル(商品名:マドンナやノルレボなど)の服用方法

72時間用のアフターピル「レボノルゲストレル錠」は次のように服用してください。

  • 服用量:1錠または2錠(薬の種類によるので医師の指示や説明書を確認)
  • 服用回数:1回
  • 服用タイミング:性行為後72時間以内

72時間を超えてしまうと効果が期待できません。早い段階で服用するほど高い効果が期待できるので、できるだけ早いタイミングで服用しましょう。

服用の際は、水またはぬるま湯で飲んでください。食事の影響は受けにくいので、食前・食後どちらのタイミングで服用してもかまいません。

万が一、副作用によって服用後3時間以内に嘔吐してしまった場合は、再度服用する必要があります。3時間以上経過してから嘔吐した場合は、追加服用は不要ですが、医療機関への相談をおすすめします。

120時間用のお薬:ウルプリスタル酢酸エステル(商品名:ホセイ、ウリプタル、エラなど)の服用方法

「ウルプリスタル酢酸エステル」という成分を含む120時間用のアフターピルは、次の要領で服用してください。

  • 服用量:1錠
  • 服用回数:1回
  • 服用タイミング:性行為後120時間以内

120時間以内に、できる限り早く、水またはぬるま湯で服用します。食事の影響は特に受けないので、服用のタイミングは食前でも食後でも構いません。服用後3時間以内に嘔吐した場合は、再度1錠服用する必要があります。

4. アフターピルの効果と避妊の成功率

アフターピルは、排卵を遅らせて卵子と精子が受精するのを防ぎ、妊娠を阻止する薬です。しかし、100%避妊が成功するわけではなく、服用タイミングが遅くなるほど成功率は低下します。

また、すでに排卵が起こっていた場合、アフターピルを服用しても避妊効果は期待できません。性行為のタイミングによっては、アフターピルを服用しても避妊に失敗する可能性があることも理解しておく必要があります。

72時間以内に服用するアフターピル(レボノルゲストレル)

国内では「マドンナ」や「ノルレボ」などという商品名で市販されている72時間以内に服用するタイプの場合、成功率は24時間以内の服用であれば約96%といわれています。しかし、時間の経過とともにどんどん低下するため、できる限り早いタイミングで服用することが大切です。

120時間以内に服用するアフターピル(ウルプリスタル酢酸エステル)

国内では「エラ」などという商品名で市販されている120時間以内に服用するタイプの場合、120時間以内の服用であれば、約98%の高い避妊成功率が期待できるといわれています。120時間経過後は、時間の経過とともに成功率は下がります。

5. アフターピルの副作用

人によってはアフターピルの服用で、吐き気や嘔吐、頭痛、めまい、生理不順、不正出血といった副作用が現れることがあります。多くの場合、一時的な症状であり、自然に治まりますが、症状が重い場合や長く続く場合は医療機関の受診が必要です。主な副採用と対処法は以下のとおりです。

副作用対処法
吐き気食事を軽く済ませる、横になる、吐き気止めを服用する(医師の指示に従う)
嘔吐服用後3時間以内に嘔吐した場合は、再度アフターピルの服用が必要。医師の指示に従う。
頭痛頭痛薬を服用する、安静にする
めまい安静にする、水分を摂取する
生理不順、不正出血一時的なものである場合が多いので、しばらく様子を見る。出血量が異常に多い、出血が長く続く場合は医師に相談を。

副作用が心配な方は、服用前に医師または薬剤師に相談し、適切なアドバイスを受けると良いでしょう。症状が改善しない場合は、我慢せずに医療機関を受診してください。

6. アフターピル使用時の注意点

アフターピルを使用する際は次のことに注意しましょう。

日常的に使用しない

アフターピルは緊急避妊のための手段であり、日常的に使用する避妊方法ではありません。繰り返し使用することで、以下のようなリスクがあります。

  • ホルモンバランスの乱れ: アフターピルは高濃度のホルモン剤であるため、繰り返し使用することでホルモンバランスが乱れ、生理不順や不正出血などが起こりやすくなる。
  • 副作用: 吐き気や嘔吐、頭痛、めまいなどの副作用も、繰り返し使用することで起こりやすくなる可能性がある。

アフターピルは緊急時の手段として用いるべきです。特に同じ生理周期内に頻繁に使用すると、避妊効果の低下や副作用の悪化など重大な健康被害が起こるリスクが高まります。通常は、コンドームの使用や低容量ピルの服用など、他の避妊法を実践するようにしましょう。

基礎疾患のある方は医師に相談を

持病やアレルギーのある方は、アフターピルの服用には注意が必要です。基礎疾患によっては、服用が推奨されない場合や、医師との相談が必要な場合があります。

服用によって症状が悪化したり、予期せぬ副作用が現れたりするのを防ぐためにも、自己判断で服用せず、必ず医師の指示に従ってください。医師に相談する際には、現在服用している薬についても正確に伝えるようにしましょう。

薬の飲み合わせに注意

アフターピルは、特定の薬と併用すると効果が弱まったり、副作用が増強したりする可能性があります。常用薬や市販薬も含め、現在服用している薬がある場合は、アフターピルとの飲み合わせについて医師または薬剤師に確認することをお勧めします。自己判断で服用を中止したり、併用したりせず、専門家の指示に従ってください。

アレルギー反応にも注意

アフターピルを服用する前に、薬剤師や医師にアレルギーの有無や既往歴を伝えることが重要です。過去に薬剤でアレルギー反応を起こしたことがある場合は、アフターピルの服用前に必ず医師に相談しましょう。医師は、アレルギー反応のリスクを評価し、適切なアドバイスをしてくれます。

また、アフターピルを初めて服用する際は、アレルギー反応が出現する可能性を念頭に置き、服用後も体調の変化に注意を払いましょう。

7. アフターピル服用後の診察の必要性

アフターピルを服用後も、妊娠の可能性はゼロになるわけではありません。また、服用によって身体に何らかの変化が生じている可能性もあります。そのため、服用後は適切なフォローアップが必要です。

服用後、理予定日から1週間以上経過しても生理が来ない場合は、妊娠検査薬を使用し、妊娠の有無を確認しましょう。陽性反応が出た場合は、速やかに産婦人科を受診しましょう。また、陰性反応であっても、生理不順や不正出血などの症状が現れる可能性があるため、注意が必要です。

また、不安な症状がある場合は、婦人科を受診して相談しましょう。医師による診察を受けることで、身体の状態を適切に確認し、必要なアドバイスを受けることができます。

8. まとめ:アフターピルを正しく理解して使用するために

アフターピルは、避妊に失敗した際の緊急的な手段として利用できる大切な選択肢です。ただし、100%避妊できるわけではなく、性感染症の予防効果もありません。

そのため、妊娠の可能性がある場合は、速やかに産婦人科を受診する必要がありますし、性感染症が心配な場合は、医療機関で検査を受けなければなりません。

アフターピルを服用した後も、避妊について改めて考え、より確実な避妊方法について検討することが大切です。緊急時の選択肢としてアフターピルを正しく理解し、適切な避妊を心がけましょう。

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