ED(勃起不全)に悩む男性にとって、ED治療薬は非常に心強い味方です。現在、日本で処方されているのは主にバイアグラ・レビトラ・シアリスの3種類ですが、違いがわからないという方もいるでしょう。自分に合った薬を選ぶためにも、本記事では、これら3種類のED治療薬の違いについて解説します。
ED治療薬3種の比較
まずはバイアグラ・レビトラ・シアリス、それぞれの薬の特徴について知っておきましょう。
(1)バイアグラの特徴
まずはバイアグラの特徴について解説します。
項目 | 詳細 |
---|---|
効果発現時間 | 服用後30分~1時間 |
効果持続時間 | 4~5時間程度 |
服用方法 | 性行為の約1時間前、空腹時に服用 |
食事の影響 | 受ける。特に高脂肪食は避ける |
副作用 | 頭痛、ほてり、鼻づまり、視覚障害など |
– 効果・効果持続時間
バイアグラは、服用後30分から60分ほどで効果が現れ始めます。
効果が最大限に発揮されるまでには1時間程度かかりますが、その効果は4時間から5時間ほど持続します。
ただし、これはあくまで目安であり、個人差があります。
バイアグラの効果持続時間は、他の ED 治療薬と比べると短いですが、服用後 1 時間前後に最大の効果が得られるため、タイミングを計画しやすいという利点があります。
– 服用方法・食事の影響
バイアグラは、性行為の約1時間前に1錠を服用します。空腹時に服用するのが理想的で、食後に服用すると効果発現が遅れるケースがあります。
特に脂肪分の多い食事を摂取した後は吸収が悪くなるため、食事の影響を受けやすいでしょう。
バイアグラを服用する際の注意点をまとめると、以下のようになります。
- 性行為の1時間前の服用を心がける
- 空腹時の服用が望ましい
- 高脂肪食は避ける
- アルコールは控えめにする
服用のタイミングと食事のとり方を理解して、バイアグラの効果を最大限に引き出すことが大切です。
– 副作用と注意点
バイアグラの副作用と注意点バイアグラの主な副作用と注意点は以下の通りです。
項目 | 詳細 |
---|---|
副作用 | – 頭痛 – ほてり – 鼻づまり – 視覚障害(青みがかって見える、光に対する感受性の上昇) ※これらの副作用は一過性である場合がほとんどで、多くの場合服用後2~3時間で治まります。重篤な副作用はまれですが、失明などの重大な副作用の報告もあるため注意が必要です。 |
注意点 | – 硝酸剤(ニトログリセリンなど)や一酸化窒素供与剤との併用は禁忌 – 心血管系疾患のリスクがある人(心筋梗塞、不整脈、狭心症など)は要注意 – 低血圧の人は慎重投与 – 肝機能障害や腎機能障害がある人は慎重投与 – アルコールとの併用で低血圧のリスクが高まるため注意 |
バイアグラは医師の診察・処方のもと、正しく服用することが大切です。副作用などの異変を感じたら、すぐに医師の診察を受けようにしましょう。
(2)レビトラの特徴
レビトラは、バイアグラと同様の効果を持ちつつ、より副作用が少ないのが特徴です。
項目 | 特徴 |
---|---|
効果発現 | 服用後30分程度 |
効果持続時間 | 4~5時間程度 |
服用方法 | 性行為の30分以上前 |
食事の影響 | 多少受ける |
主な副作用 | 顔のほてり、鼻づまりなど |
– 効果・効果持続時間
レビトラは服用後約30分ほどで効果を発揮し始め、最大5〜6時間ほど効果が持続します。
バイアグラと比較すると、レビトラのほうが若干早く効果が現れる傾向にあります。また、効果持続時間もバイアグラより1〜2時間程度長いのが特徴です。
ただし、36時間も効果が持続するシアリスよりは効果持続時間は短いといえるでしょう。
このように、レビトラは即効性と効果持続のバランスが取れたED治療薬といえます。
– 服用方法・食事の影響
レビトラは性行為の約30分前に服用します。空腹時に服用しても食後に服用しても、効果に大きな差はありません。
ただし、空腹時の方が吸収が早まるため、食後よりも食前の服用がおすすめです。脂肪分の多い食事の後は吸収が多少遅れる可能性があります。
また、アルコールは中枢神経を抑制し、勃起を阻害する作用があるため、レビトラ服用時の飲酒は控えめにしましょう。
1日の服用回数は1回までです。
– 副作用と注意点
レビトラの副作用と注意点は次の通りです。
項目 | 詳細 |
---|---|
副作用 | – 頭痛 – ほてり – 鼻づまり – 目の異常(霧視、色覚の変化、目の痛みなど) – めまい ※これらの副作用は一過性のことが多く、使用を中止すれば自然に回復します。 |
注意点 | – 硝酸剤や一酸化窒素供与剤との併用は禁忌 – 重度の肝機能障害のある方は使用できません – 最近6ヶ月以内に脳梗塞や脳出血、心筋梗塞を起こした方は使用に注意が必要 – 低血圧あるいはコントロール不良の高血圧の方は慎重投与 – アミオダロン塩酸塩などのQT延長を起こすことが知られている薬剤との併用には注意が必要 |
その他、レビトラを服用中に以下のような症状が現れた場合は、直ちに使用を中止し医師の診察を受けてください。
- 視覚異常
- 勃起が4時間以上持続する持続勃起症
- 急激な片側の視力低下や視野欠損
レビトラは医師の診察・処方のもと適切に使用することが重要です。自己判断で服用することは避けましょう。
(3)シアリスの特徴
シアリスの特徴は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
効果発現 | 服用後約1時間 |
効果持続時間 | 勃起を36時間持続 |
服用方法 | 性行為の1時間前に服用 |
食事の影響 | 脂っこい食事でも効果に影響なし |
副作用 | 顔のほてり、鼻づまり、頭痛など |
– 効果・効果持続時間
シアリスは服用後30分~1時間程度で効果が現れ始めます。バイアグラやレビトラと比較すると、若干効果発現までに時間がかかりますが、効果持続時間が長いのが特徴です。
シアリスの最大の魅力は、効果持続時間が24~36時間と非常に長いことです。服用した当日だけでなく、翌日から2日間程度は効果を実感できるため、服用のタイミングを気にせず、自然なセックスに集中できます。
また、バイアグラやレビトラと異なり、食事の時間など、服用のタイミングをあまり気にしなくて良いのもメリットです。
週末など、ゆっくりとした時間を過ごしたい時や、服用タイミングを細かく考えたくない人に特におすすめのED治療薬だといえるでしょう。
– 服用方法・食事の影響
シアリスは性行為の36時間前から服用可能で、1日1回1錠を服用します。服用のタイミングに幅があるため、性行為のタイミングを予測しにくい場合でも服用しやすいでしょう。
また、食事の影響も受けにくく、タイミングを気にせず服用できるので、デートの食事中や外食時でも使用できます。
ただし、アルコールを多量に摂取すると、めまいや血圧低下などの副作用が現れやすくなるため、シアリスを服用する場合はアルコールは適量にとどめるよう注意が必要です。
– 副作用と注意点
シアリスの副作用と注意点は次の通りです。
項目 | 詳細 |
---|---|
副作用 | – 顔のほてり – 鼻づまり – 筋肉痛 – 背中の痛み – 消化不良 ※これらの副作用は一過性のものが多く、ほとんどの場合安静にしていれば自然に改善します。ただし、4時間以上症状が続く場合は医師に相談しましょう。 |
注意点 | – 硝酸剤との併用は禁忌 – 肝機能や腎機能が低下している人は慎重投与 |
ED治療薬の選び方
どの治療薬を選ぶかは、症状や生活スタイルに合わせて決めるのがおすすめです。
(1)早く効果を実感したい人におすすめの
早く効果を実感したい方は、バイアグラかレビトラがよいでしょう。それぞれの治療薬の効果発現時間は以下のとおりです。
薬の種類 | 効果発現時間 |
---|---|
バイアグラ | 30分~1時間 |
レビトラ | 30分~1時間 |
シアリス | 30分~2時間 |
バイアグラとレビトラは服用後30分から1時間程度で効果を発揮します。シアリスと比べると効果発現までの時間が短いのが特徴です。
特にレビトラは食事の影響を受けにくいため、食後すぐに服用しても比較的早く効果を実感できます。食事のタイミングを気にせず、早めに効果を得たい人にはレビトラがおすすめと言えるでしょう。
(2)副作用が心配な人におすすめの薬
ED治療薬の副作用が心配な人におすすめなのは、シアリスといえるでしょう。
シアリスは他の2剤と比べ、副作用の発現頻度が低いといわれており、特に頭痛の副作用はバイアグラやレビトラと比べて少ないとされています。
ただし、シアリスにも顔のほてりや鼻づまりなどの副作用はあるので、医師に相談し、自分に合った薬を処方してもらうことが大切です。
(3)食事の影響を受けにくい薬
ED治療薬の中には、食事の影響を受けにくいものがあります。以下の表は、代表的なED治療薬3種の食事による影響の度合いをまとめたものです。
薬剤名 | 食事の影響 |
---|---|
バイアグラ | 高脂肪食で効果減弱 |
レビトラ | 食事の影響は比較的少ない |
シアリス | 食事の影響をほとんど受けない |
表からわかる通り、シアリスは食事の影響をほとんど受けません。バイアグラは高脂肪食で効果が減弱してしまうため、服用のタイミングに注意が必要です。
一方、レビトラは食事の影響は比較的少ないものの、バイアグラほどではありませんが、やはり食後よりも空腹時の方が効果的です。
したがって、食事のタイミングを気にせず服用したい人や、食後のデートでも効果を発揮させたい人には、シアリスがおすすめといえるでしょう。
(4)持続時間重視の人におすすめの薬
ED治療薬を服用してから効果が持続する時間は薬によって異なります。長時間効果を維持したい方には、シアリスがおすすめです。
ED治療薬 | 効果持続時間 |
---|---|
バイアグラ | 4~6時間程度 |
レビトラ | 8時間程度 |
シアリス | 36時間程度 |
シアリスは服用してから36時間程度と、他の2つに比べて格段に長い効果持続時間を誇ります。
週末など、ゆっくりとした時間の中で良好なセックスライフを楽しみたい方に適しているといえるでしょう。服用のタイミングにもゆとりができ、食事の影響も受けにくいのがメリットです。
ED治療薬を服用できない人の特徴
以下のような特徴がある人は、ED治療薬を服用できない可能性があるので注意が必要です。
(1)特定の持病がある人
ED治療薬は非常に有効な薬ですが、以下のような持病がある場合は、ED治療薬の服用が制限されます。
持病 | 服用制限のあるED治療薬 |
---|---|
重度の心臓病 | バイアグラ、レビトラ、シアリス |
重度の肝機能障害 | バイアグラ、レビトラ、シアリス |
重度の腎機能障害 | バイアグラ、レビトラ |
特に心臓病がある人は服用は避けた方が良いでしょう。ED治療薬は血管を拡張させる作用があるため、心臓に負担をかける可能性があるからです。
(2)常用している薬がある人
ED治療薬は、他の薬剤と相互作用を起こす可能性があるため注意が必要です。特に、心臓病や高血圧の治療薬を服用中の方は医師に相談しましょう。
以下の薬を常用している場合、ED治療薬が服用できない、もしくは慎重投与となる場合があります。
薬の種類 | 具体例 |
---|---|
硝酸剤 | ニトログリセリン |
降圧剤 | アムロジピン、カンデサルタン |
抗真菌薬 | イトラコナゾール、ミコナゾール |
HIV治療薬 | リトナビル、サキナビル |
ED治療薬の服用を希望する際は、必ず常用薬をすべて医師に伝えるようにしてください。医師が薬の種類や容量を調整し、安全に治療できるよう助言してくれます。
(3)アレルギー体質の人
ED治療薬は、アレルギー反応を引き起こす可能性があります。
ED治療薬 | 主な添加物 |
---|---|
バイアグラ | リン酸二水素カルシウム、クエン酸三ナトリウム |
レビトラ | クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム |
シアリス | ラクトース、三二酸化鉄 |
上記のような添加物にアレルギーがある人は、服用を避けた方が良いでしょう。
また、ホスホジエステラーゼ5阻害薬の成分そのものにアレルギー反応を示す人もいます。
アレルギー体質の人がED治療薬の服用を検討する際は、事前に医師に相談し、安全性を十分確認することが大切です。万が一、服用後に呼吸困難やじんましんなどのアレルギー症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診しましょう。
ジェネリック医薬品について
ED治療薬には、ジェネリック医薬品もあります。
ジェネリックとは
ジェネリック医薬品とは、新薬(先発医薬品)の特許期間が切れた後に販売される低価格の医薬品です。有効成分や効果は新薬と同等ですが、薬価が安く設定されています。以下では新薬と比較した内容についてまとめました。
項目 | 新薬 | ジェネリック |
---|---|---|
有効成分 | ◯ | ◯ |
添加物 | ◯ | △ |
薬価 | 高め | 安め |
発売時期 | 特許取得後 | 特許切れ後 |
ジェネリック医薬品は、厚生労働省によって品質・有効性・安全性が新薬と同等と認められたものだけが販売を許可されます。
新薬からジェネリックへの切り替えにより、患者の薬代負担を抑えつつ、医療費削減にも貢献できるとして注目を集めています。
ジェネリック医薬品のメリット・デメリット
ジェネリック医薬品は、新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に販売される薬です。次のようなメリット、デメリットがあります。
メリット | デメリット |
---|---|
価格が安い | 発売から日が浅く、使用経験が少ない |
新薬と同等の効果がある | 添加物が異なるため、アレルギー反応が出る可能性がある |
ジェネリック医薬品の選択にあたっては、これらのメリット・デメリットを踏まえ、医師とよく相談することが大切です。
ED治療薬を処方してもらう方法
ED治療薬を処方してもらうには、主に2つの方法があります。
(1)泌尿器科を受診する
ED治療薬を処方してもらうには、まずは泌尿器科を受診するのが一般的です。泌尿器科では以下のような流れで診察が行われます。
- 問診:EDの症状や生活習慣、服用中の薬などについて医師から質問されます。
- 検査:必要に応じて血液検査や尿検査などが行われ、EDの原因を特定します。
- 診断:検査結果をもとに、医師がEDと診断した場合、治療法が提案されます。
- 処方:ED治療薬の処方を希望する場合は、医師が適切な薬を選択し処方してくれます。
初診料 | 再診料 | |
---|---|---|
病院 | 2,820円~ | 720円~ |
クリニック | 2,190円~ | 580円~ |
※料金は目安です。
泌尿器科での受診は確実にED治療薬を入手できる方法ですが、恥ずかしさから敬遠する人もいるようです。そのような方にはオンライン診療がおすすめです。
(2)オンライン診療を利用する
最近ではオンライン診療でED治療薬を処方してもらうこともできるようになりました。自宅にいながら診察を受けられるので、病院に行く時間がない方や人目が気になる方におすすめです。
オンライン診療の流れ
- 事前問診票の記入
- 医師とのビデオ通話
- 処方箋の発行
- 指定の薬局で薬を受け取り
ただし、オンライン診療では治療歴がないと処方してもらえないケースもあります。また、料金は自由診療となるため保険適用外であることにも注意しましょう。
安全面では国が定めたルールに則って運営されているので、信頼できる事業者を選べば心配ありません。プライバシーへの配慮もしっかりなされています。
まとめ
EDの治療薬にはバイアグラ、レビトラ、シアリスの3種類があり、それぞれに特徴があります。使用する際は、自分の症状や体質、ライフスタイルに合わせて医師と相談の上、最適な薬を選ぶことが大切です。
また、特定の持病や常用薬がある人、アレルギー体質の人は注意が必要で、場合によっては服用できないこともあります。服用したい場合は、必ず医師に相談してからにしましょう。
EDで悩んでいる人は、まずは専門医に相談してみることをおすすめします。