【医師監修】早漏防止に効果的な市販薬と処方薬の違いを解説

早漏は男性にとって深刻な悩みの一つです。パートナーとの性生活に支障をきたすだけでなく、自信喪失にもつながりかねません。 その改善には、行動療法などに加え、薬物療法も有効です。市販薬と医療機関で処方されるものがあるので、違いを知り、正しく選びましょう。

本記事では、早漏防止に効果的な薬について解説します。

目次

早漏とは

早漏とは、性交時に十分な刺激を与える前に射精してしまう状態を指します。国際勃起機能スコア(IIEF)によると、以下の基準を満たす場合に早漏と診断されます。

基準詳細
射精までの時間挿入から1分以内
コントロールほとんどまたは全く射精をコントロールできない
性交満足度性交にほとんどまたは全く満足できない
性的自信性的自信が低下している
パートナーへの影響パートナーとの関係に悪影響がある

これらの診断基準のうち、1つ以上に当てはまる場合は早漏の可能性が高いとされています。

ただし、その判断は個人差も大きく、カップルによって許容できる射精までの時間は異なります。そのため、医師の診断を受けることが重要です。医師は上記の診断基準に加えて、性交の頻度や年齢、パートナーとの関係性なども考慮しながら、総合的に早漏かどうかを判断します。

早漏防止薬の種類

早漏防止に効果があるとされる薬には市販薬と、医療機関の受診によってもらえる処方薬があります。それぞれについて解説します。

市販薬

早漏防止の市販薬には、主に以下のようなものがあります。

種類特徴
リドカインスプレー局所麻酔成分のリドカインを含むスプレータイプ。
ペニスの感覚を一時的に鈍らせる。
リドカインクリームリドカインを含むクリームタイプ。
ペニスに塗布することで感覚を鈍らせる。
ベンゾカインコンドーム局所麻酔成分のベンゾカインをコンドームに塗布したもの。
装着時の刺激を和らげる。

これらの市販薬は、医師の処方なしで薬局やドラッグストアで購入できます。ただし、効果には個人差があり、副作用として皮膚のかぶれや痒みが生じる可能性があります。また、症状が重い場合は十分な効果が得られないこともあるため、症状に合わせて適切に選びましょう。

処方薬

処方薬は、医師の診断に基づいて処方される薬です。医師は患者の症状や体質を考慮し、適切な薬を選択します。早漏の症状の程度や原因によって、処方する薬の種類や量が異なります。主な処方薬としては、以下のものが挙げられるでしょう。

処方薬の種類特徴
SSRIセロトニンの再取り込みを阻害し、射精までの時間を延長
PDE5阻害薬陰茎の血流を改善し、勃起を維持
局所麻酔薬陰茎の感覚を鈍らせ、射精までの時間を延長

医師は定期的な診察を行い、薬の効果や副作用を確認しながら、必要に応じて薬の種類や量を調整します。これにより、患者の症状に合わせた最適な治療が可能となります。

市販薬と処方薬の違い

市販薬と処方薬では、薬に含まれる有効成分が異なります。そのため効果や副作用、価格にも違いがあります。これらの違いを知り、適切に選ぶことが大切です。

有効成分の違い

早漏防止薬の市販薬と処方薬では、含まれる有効成分が異なります。それぞれに含まれる主な有効成分は以下の通りです。

主な有効成分
市販薬リドカイン、ベンゾカイン
処方薬塩酸パロキセチン、塩酸セルトラリン

市販薬に含まれるリドカインやベンゾカインは、局所麻酔薬として作用し、ペニスの感覚を一時的に鈍らせることで射精を遅らせる効果があります。

一方、処方薬の塩酸パロキセチンや塩酸セルトラリンは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれる抗うつ薬の一種です。これらの薬は、脳内のセロトニン濃度を高めることで、射精までの時間を延長させる働きがあります。

効果の違い

市販薬と処方薬では、早漏防止効果に違いがあります。以下の表は、それぞれの薬の効果をまとめたものです。

薬の種類効果
市販薬一時的な効果はあるが、根本的な解決にはならない
処方薬医師の診断に基づいて処方されるため、症状に合わせた効果が期待できる

市販薬は、リドカインなどの局所麻酔成分を含むことで、ペニスの感覚を一時的に鈍らせ、射精までの時間を延長させる効果があります。しかし、これはあくまで対症療法であり、早漏の根本的な原因を改善するものではありません。

一方、処方薬は、医師の診断に基づいて処方されるため、個々の患者の症状に合わせた効果が期待できます。SSRIなどの抗うつ薬は、射精までの時間を延長させる効果があり、早漏の改善に役立ちます。また、必要に応じて薬の種類や用量を調整することで、より高い効果を得ることができます。

副作用の違い

早漏防止薬の副作用は、市販薬と処方薬で異なります。以下の表は、それぞれの副作用の特徴をまとめたものです。

薬の種類副作用の特徴副作用の程度
市販薬– 皮膚のかぶれ、かゆみ
– 局所の熱感、刺激感
軽いことが多い
処方薬めまい、ふらつき
血圧低下
勃起不全
重篤な場合がある

市販薬の副作用は、局所的な皮膚トラブルが主です。比較的軽微なものが多いでしょう。

一方、処方薬は全身に作用するため、めまいや血圧低下など、より重篤な副作用のリスクがあります。また、中には勃起不全などの性機能障害を引き起こす可能性のあるものもあるため、注意が必要です。

副作用の発現には個人差がありますが、どちらの薬を使用する場合も、副作用の症状に気を配り、異常があればすぐに医師に相談することが大切です。

価格の違い

早漏防止薬の価格は、市販薬と処方薬で大きく異なります。

市販薬処方薬
価格帯1,000円~5,000円程度5,000円~10,000円程度
価格の決定要因メーカーが設定医療保険の適用

市販薬は比較的安価で、1,000円から5,000円程度で購入できます。一方、処方薬は医療保険の適用を受けられないため、自己負担額は市販薬よりも高くなる傾向にあり、5,000円から10,000円程度が一般的です。

市販薬の選び方

市販薬は自分で選ばねばならない分、選ぶ際のポイントを知っておくことが大切です。ここでは市販薬の選び方について解説します。

症状に合わせた選択

早漏の症状には個人差があるため、市販薬も自分に合ったものを選ぶことが大切です。症状の程度に応じて、以下のような選択肢があります。

症状の程度おすすめの市販薬
軽度リドカイン含有のスプレータイプ
中程度リドカイン含有のジェルタイプ
重度処方薬の使用を検討

軽度から中程度の早漏には、リドカインを含有したスプレーやジェルタイプの市販薬が有効です。性行為前に局所に塗布することで、ペニスの感覚を一時的に鈍らせ、射精までの時間を延長させる効果が期待できます。

市販薬で効果が不十分な場合は、泌尿器科や男性外来を受診し、医師の診断のもと処方薬の使用を検討することをおすすめします。症状に合わせた適切な薬の選択と使用方法の指導を受けられます。

成分の確認

市販薬を選ぶ際は、有効成分を確認することも大切です。早漏防止薬の主な有効成分とその働きは以下の通りです。

有効成分働き
リドカイン局所麻酔作用により、ペニスの感覚を鈍らせる
ベンゾカイン局所麻酔作用により、ペニスの感覚を鈍らせる
プロカイン局所麻酔作用により、ペニスの感覚を鈍らせる
ニコチン酸トコフェロール血行を改善し、ペニスの感覚過敏を和らげる

これらの成分が配合された商品を選ぶようにしましょう。また、複数の有効成分が配合されている商品もありますので、自分に合った商品を選ぶことが重要です。成分の配合量も商品によって異なりますので、使用感に差が出ることもあります。

処方薬の特徴

処方薬であれば、医師による診断を基に選んでもらえるので、市販薬よりもご自身に合ったものを使用しやすいでしょう。ただし、症状の程度によって薬の量を調整する必要もあるため、定期的な診察を受けることも大切です。ここでは、処方薬の特徴について解説します。

医師の診断に基づく処方

医師は、患者の症状や原因、性生活への影響などを総合的に判断し、適切な薬を選択します。

以下は、医師が薬を処方する際に考慮する主なポイントです。

項目内容
症状の重症度射精までの時間、コントロール能力など
原因心因性、器質性、両者の複合など
性生活への影響パートナーとの関係、性的満足度など
既往歴・合併症他の疾患や服用中の薬との相互作用

医師は、これらの情報を基に、患者に最適な薬を選択します。また、定期的な診察を通じて、薬の効果や副作用をモニタリングし、必要に応じて薬の種類や用量を調整します。このようなきめ細やかな管理が、処方薬を使用する大きなメリットといえるでしょう。

症状に合わせた薬の選択

処方薬は、医師の診断に基づいて患者の症状に合わせて選択されます。早漏の重症度や原因、合併症の有無などを総合的に判断し、最適な薬が処方されます。

以下は、症状に応じた代表的な処方薬の例です。

症状処方薬の例
軽度の早漏SSRIの低用量
中等度の早漏SSRIの標準用量
重度の早漏SSRIの高用量、局所麻酔薬
器質性早漏PDE5阻害薬

医師は定期的な診察を行い、副作用や効果を確認しながら薬の種類や用量を調整します。これにより、患者の症状に合わせたきめ細やかな治療が可能となります。

定期的な診察と薬の調整

処方薬による早漏治療では、定期的な診察と薬の調整が重要です。初診時には、症状や性生活の状況、既往歴などを詳しく聞き取った後は、以下のようなスケジュールで定期的に診察を行います。

診察タイミング主な目的
処方開始後2~4週間効果と副作用の確認、薬の調整
処方開始後3ヶ月治療効果の評価、薬の調整
以降3~6ヶ月ごと症状の改善状況の確認、薬の調整や中止の検討

診察では、薬の効果や副作用、性生活の満足度などを確認します。必要に応じて薬の種類や量を調整したり、他の治療法を併用したりすることになるでしょう。症状が改善し、一定期間安定していれば、徐々に薬を減量・中止していきます。

このように、医師との定期的な診察と薬の調整により、各個人に合わせたきめ細やかな早漏治療が可能となります。

早漏防止薬の使用上の注意点

早漏防止薬を使用する際は、以下の点に注意が必要です。

用法・用量を守る

早漏防止薬を使用する際は、必ず用法・用量を守りましょう。市販薬、処方薬ともに、説明書に記載されている用法・用量を確認し、それに従って使用することが大切です。

過剰な使用は、副作用のリスクを高めるだけでなく、効果が減弱する可能性もあります。また、長期間にわたる連用は避け、症状が改善した場合は医師や薬剤師に相談の上、使用を中止するようにしましょう。

正しい用法・用量を守ることで、早漏防止薬の効果を最大限に発揮させ、副作用のリスクを最小限に抑えることができます。

副作用に注意する

早漏防止薬の使用にあたっては、副作用に十分注意する必要があります。処方薬を利用する場合の主な副作用は以下の通りです。

副作用症状
めまいふらつき、立ちくらみ
頭痛頭が重い、ズキズキする
動悸心臓がドキドキする
吐き気吐きそうな気持ち悪さ

これらの副作用が現れた場合は、使用を中止し医師に相談しましょう。

また、市販薬の場合はアレルギー反応として、かゆみや発疹が出る場合もあります。このような症状が現れたら、すぐに使用を中止し医療機関を受診してください。

副作用の発現には個人差がありますが、早漏防止薬を使う際は自分の体調変化に気をつけ、副作用と上手に付き合っていくことが大切です。

他の薬との併用に注意する

早漏防止薬を使用する際は、他の薬との併用に十分注意が必要です。特に、以下のような薬を服用中の場合は、医師や薬剤師に相談してから使用しましょう。

薬の種類注意点
降圧剤血圧が過度に低下する可能性あり
抗うつ薬セロトニン症候群のリスクが高まる
ED治療薬併用により低血圧のリスクが上昇

また、市販の風邪薬や鎮痛剤などとの併用も避けた方が無難です。体調が優れない時は、早漏防止薬の使用を控えるようにしましょう。

併用薬に関して不明な点がある場合は、自己判断せずに必ず医療機関に相談してください。専門家のアドバイスに従うことで、安全かつ効果的に早漏防止薬を使用することができます。

まとめ

早漏防止薬には市販薬と処方薬があり、それぞれ有効成分や効果、副作用、価格などが異なります。

市販薬を選ぶ際は、自身の症状に合った成分の商品を選ぶことが大切です。一方、処方薬は医師の診断に基づいて処方されるため、症状に合わせた薬の選択をしてもらえるほか、定期的に診察を受けることで薬の調整もしてもらえます。

また、早漏防止薬を使用する際は、用法・用量を守り、副作用や他の薬との併用に注意しましょう。自身に合った薬を適切に使用して、早漏を改善し、より充実した日々を送りましょう。

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